お酒の雑学

日本酒にお燗をするのはなぜ?



日本酒のお燗イメージ



日本酒を飲むとき、どんな飲み方が正解なの??
と迷ったことはありませんか?

一般的に言われているのは、吟醸系は、冷やして。
生酒も、冷蔵庫で冷たくしてなど。
でも、お店で「冷や」でと注文して、出てきたのは常温の日本酒。
「冷や」は、冷やした日本酒じゃないの?と思った方もいるのではないでしょうか。

日本酒の飲みごろの温度って何?とお悩みではありませんか?

外気が肌寒く感じる季節には、お燗酒も魅力的です。

日本酒の美味しい温度を知って、
自分流の日本酒の楽しみ方を見つけてみませんか?

日本酒を飲むのが、もっと楽しくなる。
【日本酒のお燗3つのポイント】をお教えします。




【日本酒のお燗3つのポイント:1】
お燗の温度の種類を知ろう!


お燗酒というと「熱燗(あつかん)」を思い浮かべる方も多いと思います。
寒い外から肩をすくめながらお店に入って、「熱燗で!」なんて注文したら、ちょっとカッコいいですよね。
ふわりと湯気のたつ日本酒は、じんわり体が温まります。
日本酒の旨味が、しみわたる感覚もノスタルジック。

しかし、日本酒のお燗は、「熱燗」だけではありません。

温度帯によって、10種類もの区別があるんです。



■55℃くらい:飛び切り燗(とびきりかん)
  酸味がぐっと前にくる、
  「生もと」や「山廃」仕込みの日本酒におすすめ  


日本酒のお燗の温度帯
■50℃くらい:熱燗(あつかん)
  最も標準的なお燗の温度帯です

■45℃くらい:上燗
  ふわっと湯気とともに、日本酒の香りが楽しめる


■40℃くらい:ぬる燗
  少し温かいと感じる温度帯で、まろやかさが味わえる


■37℃くらい:ひと肌燗
  ほんのり温かさを感じる温度帯で、
  じんわり旨味を感じる


■30℃くらい:日向燗(ひなたかん)
  ほんの少し温めることで、香りと味にふくらみが出る


■常温:冷や
  温度は変えず、そのままを味わえる


■15℃くらい:涼冷え(すずびえ)
  旨味を味わいながら、フレッシュさも楽しめる


■10℃くらい:花冷え(はなびえ)
  日本酒の味わいの特徴が体感できる


■5℃くらい:雪冷え
  キンキンに冷やすことで、爽やかなノド越しに






【日本酒のお燗3つのポイント:2】
日本酒をお燗酒にしてみよう!



お酒を温める事を、「燗をつける」と言いますが、方法は色々とあります。

大きく分けて2種類。

1つ目は、「直火燗」です。
鍋等に直接お酒を入れてそのまま火にかけるお燗の方法。

一度に大量のお酒を直ぐ温められるという利点がありますが
鍋などに接する部分では、お酒が余計に温まってしまいます。
アルコールが揮発し、辛い酒になったり、焦げた匂いなどが付いたりするので、
せっかくのお酒の風味が変わってしまいます。

2つ目は、「湯せん燗」です。
徳利などの酒器に酒を入れ、鍋に水やお湯を入れて温める方法。

さらに「湯せん燗」には、3つの燗のつけ方があります。

(1)水から沸かす
  鍋に入れた水の温度が徐々に上がっていくので、途中で香りがとんでしまいます。

(2)熱湯につける
  酒器が急激に過熱されるので、アルコール臭が鋭くなります。
  酒器を引き上げた後も、熱くなった酒器の影響でお燗が進んでしまいます。

(3)80℃くらいのお湯につける
  温度を保ったお湯の中に酒器を付ける方法です。
  アルコールが揮発する温度よりも低い温度のお湯につけるので、
  香りが飛んだり、辛すぎるお酒になったりすることもありません。

理想の温度を保つのは、なかなか難しいかもしれませんが、
おすすめは、断然「80℃くらいのお湯につける、湯せん燗」です。





【日本酒のお燗3つのポイント:3】
お燗に向いている日本酒の基本を知ろう!



お燗の温度帯の種類とお燗のつけ方を知ったら、もう自分でお燗つけてみたくなったのではありませんか?

ではどんな日本酒をお燗酒にしてみましょうか。
ここでは、お燗に向いている日本酒として、基本の部分をご紹介します。

常温で飲んだ際に、酸味が利いていて、ふくよかな「味わいタイプ」の日本酒が、お燗に向いている日本酒といえます。

お燗で美味しくなる酒=燗上がりする酒です。

お燗をつけると、甘味が強まり、苦味、辛味が弱まります。、温度とのバランスがとれて、味わいが膨らみ、本来の酒質以上に軽く感じられます。
35℃前後で甘みが最も強く感じられるため、酸味の利いた味わいのある酒質の日本酒が、お燗に向いていると言えます。

ただし「熱燗じゃないと!」と仰る方には、やや辛目のすっきりとしたタイプの日本酒も飲み易くオススメです。



とはいえ、この日本酒はこの温度で!と決まりがある訳ではありません。
冷やにすれば、引き締まったシャープな味わいに。
お燗にすれは、ふくらみのある、まろやかな味わいに。
同じ日本酒でも、温度によって様々な表情が楽しめます。

暑い日なら爽やかでキリット、冷やして。
寒い日だけでなく、味わいの濃い料理と一緒にお燗酒。

1本の日本酒を、自分好み楽しんでOKなのが日本酒です。
幅広い温度のお燗酒を、気軽に楽しんでみてください。

いつも飲んでいる日本酒に新発見があるかもしれません。




参考までに。
地酒のリエゾンおすす燗上がりする日本酒

一ノ蔵 山廃特別純米酒 円融(えんゆう) 一ノ蔵 特別純米原酒<br> 一ノ蔵 ひめぜん 一ノ蔵 熟成酒 招膳(しょうぜん)
一ノ蔵 山廃特別純米酒
 円融(えんゆう)
一ノ蔵 特別純米原酒
 ふゆみずたんぼ
一ノ蔵 ひめぜん 一ノ蔵 熟成酒
 招膳(しょうぜん)

日本酒の種類

日本酒の種類について




 日本酒には平成4年(1992年)3月迄『級別制度(特級・1級・2級)』という分類がありました。現在では、その製造方法や原材料によって分類する「清酒の製法品質表示基準」による特定名称酒と、普通酒とに大きく分けられています。
 当店で取り扱っている日本酒は殆どが特定名称酒ですが、その特定名称酒も以下のように分けられています。


特定名称の表示原材料表示精米歩合(注1)アルコール添加米麹の割合
純米大吟醸
純米吟醸
米・米こうじ50%以下
60%以下
なし15%以上
大吟醸
吟醸
米・米こうじ
醸造アルコール
50%以下
60%以下
あり
(本醸造に準ずる)
15%以上
特別純米
純米
米・米こうじ60%以下
制限無し
なし15%以上
特別本醸造
本醸造
米・米こうじ
醸造アルコール
60%以下
70%以下
あり
(注2)
15%以上

(注1)特定名称の清酒の原料米は3等級以上の玄米を使用し、原材料名の表示の近くに精米歩合を表示する事。
(注2)アルコールの添加量は白米重量の10%以下(95%アルコール換算)でなければならない。

上記の条件に当てはまらない日本酒は普通酒となります。
(例)
・アルコール添加量が多い(本醸造以上)
・1、2、3等米以外の米を使用している
原材料表示は「米・米こうじ・醸造アルコール」「米・米こうじ・醸造アルコール・糖類・酸味料・調味料(アミノ酸)」となっています。

上記表記の中で赤字部分が平成16年1月1日から改正された。
なお純米酒については3/31まで、吟醸・本醸造については6/30までの猶予期間となる。



酒類評論家の故穂積忠彦先生は、上記分類を『ピラミッド型生産消費構造』として下図のように表しています。






製造量の分類別構成比は以下の通りとなっております。全国平均と比べると、東北地方は特定名称酒の比率が高く高精米のお酒作りをしているといえます。特に宮城県は実に80%以上が特定名称酒で占められており、各蔵元が高精米高品質の日本酒作りに努力している結果が如実に現れた数字だと言えます。

2006年(1月~12月):日本酒造組合中央会調査のタイプ別出荷構成比(%)  

 純米吟醸吟醸純米酒本醸造その他
宮 城 県6.94.027.345.016.8
東 北 地 方4.75.213.717.259.2
全   国3.33.27.911.773.9

2006年(1月~12月):日本酒造組合中央会調査のタイプ別全国清酒出荷数量

 数 量前 年 比
 吟 醸 酒00046,250kl098.5%
 純 米 酒00056,998kl105.2%
 本 醸 造 酒00083,967kl095.2%
 特 定 名 称 酒 計00180,992kl095.9%
 一 般 酒 00530,022kl095.6%
 合   計00711,014kl096.4%

 


ラベルの読み方

日本酒ラベルの読み方



ラベルが読めればお酒選びにもう迷わない。これでもう大丈夫!でもね…。(最後まで読んでね…。)

蔵元が我が子のように手塩にかけ育て、出来上がった「酒」。
生まれも育ちも様々な商品が棚には並んでいます。
容姿(見た目)も違えば、性格(味わい)も違う「酒」ですが、ラベルを見れば。。。
あれだけ悩んだ「酒」の顔(個性)が見えてきます。


ラベルの種類には次の3通りがあります。

・ 表ラベル(胴貼り)

・ 肩ラベル(肩貼り)

・ 裏ラベル(裏貼り)


酒税法上では表示義務はありませんが、多くの蔵元が蔵元名や種類についての記載をしています。







「酒」の顔とも言うべきもので、ある意味中身の酒よりも蔵元の個性がはっきりとわかるところです。
  ラベルの表記もレトロな毛筆あり、絵画など様々ですし、ラベルの形も胴をぐるっと1周する長いタイプや、短冊形のスッキリとしたもの、はてさて、素材に関しては和紙・シール・ビニール素材・金箔など実に様々です。
 表示は酒税法に基づき、文字のサイズや内容が細かく定められています。
  1. 商品名 これがなくては始まりません。これらの表示の中で酒がどのようにして造られたか(お酒の種類や素性)がわかります。詳しくは「お酒の種類について」をご覧下さい。

  2. 製造年月 この商品が蔵元からいつ出荷されたか(蔵元によっては瓶詰め時期や賞味期限の表示になっています。)がわかります。但し、蔵元で熟成させた後に出荷された酒や、小売酒販店で味の変化を楽しんでいただく為にあえて、熟成している酒もあり、あくまで目安という認識で良いでしょう。要は管理が大事なのです。

  3. 容量 清酒は基本的に一合(180ml)を基準に瓶詰めされていましたが、生活スタイルの変化から現在ではその限りではありません。最近では業界内で小瓶と呼ばれる720mlや300mlなど冷蔵庫に入れることが出来るサイズに人気があります。

  4. 酒税法上の酒の種類の表記 清酒もしくは日本酒と記載されます。

  5. アルコール度数 一般的な日本酒のアルコール度数は15度~16度ですが、原酒では更に高くなり、純米では18度、本醸造では20度にもなるものがあります。

  6. 原材料名 どのような原料にて醸されたかがわかる大事なところ。酒はやはり口に入るもの。とても気になるところです。詳しくは「お酒の種類について」をご覧下さい。

  7. その他 蔵元によってはラベルに使用している書などの説明も記載されています。





実は表ラベル以上に多くの情報が記載されていることの多い裏ラベル。これを見なけりゃ何もわからない?特に多くの蔵元で味わいに関する記述が多く、見逃す手はありません。

  1. 商品名 基本的に表ラベルと同じ名前です。

  2. 蔵元の商品説明 蔵元のもつこだわりに触れられる部分。多くの蔵元で客観的な味わいの記述が為されています。また、蔵元の背景(エピソード)などの記載も!

  3. お召し上がり方 以前はそれほど目立って記載する蔵元は少なかったのですが、昨今「良質な酒を美味しいままにお客様へ」と、記載する蔵元が多くなってきました。蔵元のすすめる美味しいお召し上がり方法の表示です。

  4. 日本酒度 水(±0)に対する酒の比重を日本酒度計で計ったものです。糖分やアミノ酸、ミネラルといったエキス分が多い酒ほど重くマイナス(-)になり、エキス分が少ない酒ほど軽くプラス(+)に傾きます。一般にマイナスの数字が大きいと甘く、プラスの数字が大きいと辛く感じるといわれます。ただし、後述の酸度との兼ね合いもあり一概には断言できません。

  5. 酸度 酒の中の有機酸(乳酸、コハク酸、リンゴ酸など)の量を示します。一般に旨味や酸味として感じます。日本酒度と密接な関係にあり、日本酒度が同じ酒で比較した場合、酸度が高いと辛く、低いと甘く感じる傾向にありますが、酒の温度や香りなどで、舌や鼻に感じる影響も大きく、一概に言えないところです。

  6. 原料米 その酒の使用した米の品種名を表します。酒造好適米として兵庫県の山田錦や岡山県の雄町などが有名ですが、最近では地元の米を使う蔵元や、無農薬米、有機米、環境保全米などを使用し、米にこだわりを持つ蔵元が増えています。

  7. 精米歩合 米一粒を玄米の状態からどの位精米したかという表示です。例えば精米歩合55%ですと45%は糠として捨てたことになります。特定名称酒では造りの違いにより厳密に定められています。詳しくは「お酒の種類について」をご覧下さい。

  8. その他「アミノ酸度」として測定される成分は主として旨味を構成しています。約20種類のアミノ酸(グルタミン酸、チロシン、セリン、アルギニンなど)が含まれています。日本酒度や酸度と密接な関係にあり、相乗効果として感じます。


いかがでしたでしょうか?様々な要因(好み、体調、気分、酒の温度、日本酒度、酸度、アミノ酸度など)により、実際に感じる味わいには個人差などが大きく、ラベルは全てを表示するものではありません。
酒屋が言うのもなんですが、ラベルはあくまで目安です。やっぱり飲んでみないとね!

お酒と健康について

日本酒と健康について





 お酒は百薬の長といいますが、度を越すと百害の長ともなりえます。適量を知り、程よく、楽しく飲んでいただければと思います。




お酒に強い人は、血中のアルコール濃度の上がり方が低く、弱い人は上がり方が高いといわれています。
アルコールは肝臓で酸化されて、アセトアルデヒドになります。
いつもお酒を飲んでいる人はこの酸化が早くなり血中濃度も低くなります。
アセトアルデヒドという物質は悪酔いの元凶といわれており、『酒を飲んで顔が赤くなる』『頭痛がおきる』『気分が悪くなる』といった症状は、この物質によって起こります。
アセトアルデヒトはさらに酸化されて酢酸になりますが、ここで働く酵素を欠いていたり、その働きが弱かったりする人がいます。
日本人はこの割合が高いようですが、このような人は『酒に弱い』のです。




チャンポンは、違った種類のお酒を口にする事をいい、良く悪酔いすると言われておりますが、根拠はありません。
胃の中で違うお酒が混ざり合っても特別な化学変化はおきません。
悪酔いするのは、あくまでも量を飲み過ぎるからです。




顔が赤くなるからといって、お酒が弱いとは言えません。
アルコールが分解される途中の物質(アセトアルデヒド)が、顔が赤くなったり二日酔いを引き起こす原因です。
この物質を更に分解するため、体内には大きく分けて2つの経路があります。
一つは生まれもって備わっている経路(お酒に強い人・弱い人参照)。
もう一つは環境に適応して後から発達する経路があり、前者を持ち合せていない人が顔が赤くなる傾向にあります。ですから顔が赤くなる人でも後者の経路が発達している人はお酒に強いと言えるのです。




「事前に牛乳やチーズを食べておくと胃に膜が出来て酔わなくなる」と言われますが、胃に膜が出来るというのは当てはまりません。
仮に出来たとしても1秒か2秒の事だそうです。従ってこの影響で酔わなくなる事はありません。
しかし、事前に食べ物を胃に入れておく事で悪酔いを防ぐ事は出来ます。アルコールの吸収が遅れるので悪酔いしないという原理のようです。


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